- 2025.10.17 UP !
上質紙のリッチブラックの印刷で大失敗!20万円掛けて学んだこと llustrator
こんにちは FULL Web Designの渡邊です。
久々にやってしまいました。
別事業で、カレンダーを制作して、販売しようと取り組んでおり、先日入稿しました。
昨日、商品が届き、佐川急便さんに「下ついたら電話ください、車にものせるんで、」
と運んでもらってる最中に、いざトランクで開封。
ワクワクしながら開けると、まさか・・の印刷ミス!!!うまく印刷されてない!
商品を確認して、久々グラグラっと来ちゃいました。笑
これは夢か?と一瞬よぎりました。
Contents
- 1 前置き:入稿データ作成中から黒の扱いが少し心配ではあった
- 2 印刷においてブラックの扱いは少しむずかしい
- 3 印刷会社の黒に対しての説明を守り、黒部分はリッチブラックで制作
- 4 もう一つの心配だった事:上質紙は色が薄くなり、黒がグレーっぽくなる
- 5 実際の印刷物の失敗部分をお見せします。
- 6 駄目だ、再印刷しなきゃ、と印刷元のプリントパックに問い合わせる
- 7 ブラックに関して、リッチブラック以上に設定しても問題なく、イラストと合わせたほうが良い
- 8 周りには、校正すればよかったんじゃないか?と指摘される
- 9 入稿データの再作成で悩む
- 10 入稿データ再作成完成
- 11 大発見!今回の失敗(上質紙のリッチブラックの印刷)を画面上で再現する方法を見つけた
- 12 完全再現でしょ?つまり、上質紙で印刷すると、透明度80%くらいになる
前置き:入稿データ作成中から黒の扱いが少し心配ではあった
今回は先輩が書いたキャンバス画をスキャナで取り込み、それをアートにしてカレンダーを制作。
もちろん、自宅プリンター・デザイン用のモニターでもしっかりとプリント・表示されているのを確認。
入稿データを作成中、
photoshopで調整したイラストデータは黒い部分がかなりインクの総量が高めだが、
背景のイラストレータでベタ塗りしてある部分の黒は、リッチブラックで良いのか?
そこに未知の不安がありました。
キャンバス画のブラック
印刷会社(プリントパック)指定のリッチブラック
印刷においてブラックの扱いは少しむずかしい
リッチブラックとは
当然ですが、黒に他の色を混ぜても黒なんですが、
実際は、印刷機は4色で表現されているので、
黒インクに他の色も混ぜれられて、表現されるわけです。
リッチブラックとは、印刷において、黒インク(K)にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色を加えて、より深みのある黒を表現する印刷方法です。スミベタ(K100%)よりも濃く締まりのある黒になりますが、インクの重なりで輪郭がぼやけやすいため、細い文字や線、白抜き文字には不向きです。
プリントパックのデータ作成手順には、このような記載があります。
CMYK100%の設定はNG(リッチブラックについて)
カラー設定にてC・M・Y・Kの数値の合計が400%の場合、裏うつりの原因ともなりますので不備データとなります。
デザイン上、濃度の高いブラック(リッチブラック)を使用する場合は、下記をご参照下さい。
※CMYKの数値の合計が300%を超えるとインクが乾かず裏うつりなどのトラブルの原因となります。
(例)
リッチブラックの場合 C 50+M 40+Y 30+K100=220・・・OK
濃度が高すぎる場合 C100+M100+Y100+K100=400・・・NG
備考:スミノセK100というものもある
K100%のみのオブジェクトはすべてオーバープリント(スミノセ)されます。
つまり、下に何か印刷するオブジェクトがあると、その上にK100が乗りますよって事。
K100にCなど1%でも足すと、下のオブジェクトは印刷されずに、その色がでます。
印刷会社の黒に対しての説明を守り、黒部分はリッチブラックで制作
リッチブラックと、画像の黒もうまく混ざるだろうと考えて、イラレ部分で作成した黒ベタ部分をリッチブラックで作成
※後で、実際のデータの紹介もします。
もう一つの心配だった事:上質紙は色が薄くなり、黒がグレーっぽくなる
25年のデザイン経験、昔、一度だけ、上質紙でK100で印刷をしたときに、これグレーだよとクライアントよりお声がけ頂き、
リッチブラックにて再印刷した経験がりました。そこからK100は基本ベタ塗りのデザインでは使わなくなったのですが、
上質紙は異常に色が薄くなるということ。
実際、そのご意見をいただくまでは、コート紙ではK100で印刷しても指摘されたことがなかったので、
あまり気になりません。
上質紙はコートされていない紙のため、クライアントからも選択されない事が多いです。
(繊細なデザインなどで利用されるときがある)
ただ、今回は反射しない紙にしたかったので、上質紙にしました。
※広告代理店の仲間と今回の失敗をはなしていると、上質紙はコートされていないため、インクを吸い込むよね!といわれ、納得。だから色が薄くなるのでしょう。
実際の印刷物の失敗部分をお見せします。
上質紙でリッチブラックではまだ薄い
コート紙ではインクが溜まるためか、通常は真っ黒になるはずの部分がグレーっぽくなっているため、
アート部分のブラックより薄くなってしまっている。
キャンバス画とベタ塗りをつなぐためのグラデーションの境界線がはっきり見えてしまった
コート紙だとインクが溜まるため、通常この重なりは表示されず、黒くなるはずだが、
リッチブラックがまだ薄いため、その上から掛けた黒のグラデーションが見えてしまった、
キャンバスがとリッチブラックの境目もはっきり見える
駄目だ、再印刷しなきゃ、と印刷元のプリントパックに問い合わせる
プリントパックさん、はっきり言ってお値打ちですが、
大企業になったため、オペーレーション等、システマチックになってます。印刷後の電話問い合わせ先もなくなりました。
25年前から利用していますが、最近は本当に対応がシステマチック。。
この度はご満足いただける商品をお納めできず申し訳ございません。
ご指摘を受け、ご入稿データを確認いたしました。大変恐れ入りますが、今回はご入稿データに準じた仕上がりになっているように見受けられます。
ご指摘の黒色の段差と感じられる箇所、
データ上、画面では黒1色で視認されるものであったかと存じますが、
実データ濃度が異なっており、その境目が段差の様に印刷で表現されているものと思われます。以上、ご報告申し上げます。
どうぞよろしくお願いいたします。
ご連絡ありがとうございます。
再度印刷しなければならなく、
データの作成について質問です。
イラレデータの黒部分を
リッチブラック指定 C50 M40 Y40 K100にて
指定しましたが、フォトショップデータのイラスト部分と同じく、
C93.73 M92.55 Y90.59 K80.78
などと指定してもよいでしょうか?
お世話になります。プリントパックでございます。
お問合せいただいておりました件、下記のとおりご報告申し上げます。はい、問題ございません。
画像部分の背景と合わせられることをお勧めいたします。以上、ご報告申し上げます。
どうぞよろしくお願いいたします。
とのことでした。
ブラックに関して、リッチブラック以上に設定しても問題なく、イラストと合わせたほうが良い
当たり前なんですが、そうですよね。
ただ、印刷データ作成のマニュアルにも
黒ベタについて、ブラックはリッチブラック指定 C50 M40 Y40 K100まで、というようなニュアンスで書いてあったので、
変に真面目になってしまいました。
また、コート紙であれば、今回の入稿データでも、目立つ失敗ではなかった可能性もあります。
周りには、校正すればよかったんじゃないか?と指摘される
校正、プリントパックさん以外でよく使っている印刷屋さんで、画面上で校正確認を出してくれる会社さんもあります。
そちらの会社さんなんかは、とても人情味があり、いつもと発注内容がちがうけど、大丈夫ですか?など電話頂いたりします。
プリントパックさんは、画面校正はありません。
また、校正は有料ですが、オフセットの13枚になるカレンダーに校正があったか、費用は不明ですが、
A3の校正でも2営業 5部9,700円となっているようです。
※実際、再印刷の時は、ポスターを印刷することで、校正の代わりとなるように上質紙で印刷しました。
入稿データの再作成で悩む
RGBブラックがキャンバス画のブラックと同じ数値だと気づいた
イラレで、ベタ塗りを選択して、#の所を000000に変更してみてください。
そうすると、黒の値が変更されます。
これはwebでいうCSSのブラック#000000なんです。
つまり、これを黒に指定すれば、同じような黒の深さになるという事。
つなぎ目部分は、上塗りのグラデーションで制作しているため、黒の変化が繊細な上質紙では無理だと判断
この部分ですが、画面ではこんな感じだけど、印刷すると、
こんな感じ。
ここは思い切って、一旦背景の全体をイラストと合体させた状態でJPEGで書き出してみることに
書き出して、レイヤーを変え再配置してみる。
スポイトでグラーデション部分の数値を検証してみると、いい感じに自然な流れで数値が変わっている。
これで大丈夫そう。
※あとでデータ見せます。
背景をCMYK #000000で書き出したブラックも、配置してスポイトで数値を測ってみると、色が変わっている。
配置した画像の黒は#000でなく少し薄くなっている。
これは元データを最も濃くして書き出したほうが良いと判断し、
印刷では禁止の
ブラック4色ベタに変更
4色ベタも#00000なんですよ 笑
この設定でJPEGで書き出すと、同じ部分をスポイトで取ると
こうなりました。
これで行くことにします。
入稿データ再作成完成
怖いので、校正代わりにプリントパックで、A3ポスターをまず発注
A3ポスターのオフセット、当日発送100枚で5000円程度。
流石に怖かったので、これをまず注文しました。
明日届く予定です。
イラレのドキュメントによって 配置したjpeg画像の色の数値が変わる
スポイトで、再入稿用データをチェックしていくとなんだか、配置した書き出したJPEGでもブラックの数値が違う。
なんだろうと、検索しまくりました。
結果、配置画像を埋め込みにするとみな同じ数値になりました。
なんか、配置はプレビューを表示してるだけで、曖昧な仕様なようで、
ちゃんとチェックする際は、埋め込む必要がありそうです。
大発見!今回の失敗(上質紙のリッチブラックの印刷)を画面上で再現する方法を見つけた
イラレのオーバープリントプレビューを活用する
Illustratorのオーバープリントプレビューは、「表示」メニューから「オーバープリントプレビュー」を選択することで、印刷時に色同士が重なってどのように仕上がるかを確認できる機能です。これにより、意図しない文字の消滅や色の変化などのトラブルを、入稿前に防ぐことができます。
失敗したデータでオーバープリントプレビューしたものがこちら
見てください!やっぱり、データは間違っていないです!!普通にコート紙で印刷すればこうなると思ってデータ作成しました。
これを上質紙だと、薄くなると思ったので、全体をグループ化し、透明度を下げてみます
透明度を下げる 80%
見てください!失敗した印刷物、そのままが再現されました!!!
どうですか!?
完全再現でしょ?つまり、上質紙で印刷すると、透明度80%くらいになる
20万円使って大失敗して、ここまでたどり着きました。
上質紙はコート紙と違って、透明度80%くらいで印刷されるという事!
そこで、今回、再度作成したデータもオーバープリントプレビューにて、透明度を下げてチェック
再印刷用データはバッチリ
これで背景80%です。
なかなか高い勉強代でした。
皆さんも、データ作成でお困りの方もおられると思います。
上質紙の、リッチブラックについての取扱については、とても難しいので、参考になればと思います。
参考になった、と思われた方や、
このカレンダー何?かっこいい!と思われた方は、
是非!ご購入お願いします。 印刷代だけで40万かかっちゃいました。。
応援よろしくお願いします。
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1980.11.26生まれ 2児の父 愛娘家 趣味:料理 DIY
2000年、名古屋栄の東京デザイナー学院名古屋校(現名古屋デザイナー・アカデミー)を卒業。
グラフィックデザイン歴25年以上、WEB制作歴20年以上。
30歳で起業。起業前は音楽活動(HIPHOP)、看板屋(看板・店内サイン制作)、デザイン会社(WEB等制作)などを経験